【読書】『フランス人は10着しか服を持たない』
久しぶりに大型のブックオフに行って、中でも特に低価格になっているコーナーで整理収納やライフスタイル関連の本を探し、数冊購入しました。
意外と掘り出し物が多くあり、ほぼ新品!という一冊も手に入れました。
本日のタイトルの本…この本は一時期話題になりましたね。
書店で立ち読みをしたことはあったのだけど、じっくり読んだことがなかったので、整理という概念に役立ちそうだと思って手に取りました。
さて、amazonのレビューでも様々な感想をお持ちの方がいらっしゃって、賛否両論なのかなと思いながら読み始めました。
整理収納という点をちょっと入れながら、一個人としての感想を書いていきたいと思います。
タイトルからくる誤解
「フランス人は10着しか服を持たない」
あらまぁ、極端に出ましたね(笑)
このタイトルは邦題で、『Lessons from Madame Chic』が元のタイトル。
随分異なると思いません?
もし、「マダム・シックの教え」のような平凡なタイトルであれば、平積みされていてもここまで売れなかったと思います。著者がJ.K.ローリングとでもあれば別でしょうけども、日本では無名の海外作家の著作であれば、目を引くタイトルでなければ、まずは手にとってもらうというハードルすらクリアできなかったでしょう。
日本の今の出版状況を鑑みると、この本を凝縮しているとは決して言いかねるタイトルですが、販売戦略上、致し方ない部分もあったのではないでしょうか。
読者の視点から見れば、「パリで学んだ”暮らしの質”を高める秘訣」というサブタイトルの方が的を得ています。タイトルと中身に乖離があるという書籍はこれだけではなく、肝心の中身がスカスカという本も山のようにありますから、あまり目くじら立てずに「極端にもとれるタイトルで攻めないと、売れない時代になっちゃったのね…」くらいでいいんじゃないかというのが、タイトルに関しての私の感想です。
タイトル考える人たちもプロなんだから、それなりにもっとマシにできなかったのかなとは思いますけど、結果的に話題にも売り上げにもなっているので、間違っているとは決して言えないのも確かです。
あくまでとあるライフスタイルのエッセイ
あくまでも著者のライフスタイルブログに書き足したエッセイ本なので、決してノウハウ本ではないです。だから、これを読んだら10着しか服がいらないような驚愕のミニマルライフを実現できるわけではありません。
ただし、意識改革の一つのきっかけとしてはいい本だと思います。特に、整理収納アドバイザー2級の講座を受けた後にこの本を読むと、本の見方が変わってくると思います。有名な整理収納アドバイザーさんの本などを読んで「こんな暮らし方いいな〜」と思う方がいらっしゃると思います。彼女らはbeforeからafterを作るプロなので、どうやったら彼女らのような整理整頓された部屋になるかのノウハウをちらっと教えてくれます。この本では、afterは書かれていますが、どうやってそこに至ったかの過程は書かれていません。そもそもbeforeなんてありません。なぜなら、生まれた時からそのように暮らしているのだから。この本のフランス人のモデルとなったマダム・シック(貴族の家庭のご婦人)にとっては、ここに書かれたafterの生活が全てで、それしか知らないのです。
整理収納アドバイザー2級で学ぶ「整理」と「収納」のコツを理解・実践すれば、この本の伝えたい暮らし(高級住宅街や高価な調度品といった要素は省いて…)を実現するためのステップが見えてくると思います。before(現実)から、after(この本が伝えたい暮らし)の間を埋めてくれるからです。
もちろん、この本はエクササイズや教養についても触れられているので、整理収納の知識が全ての間を埋められるかというとそうではありません。
そもそもノウハウ本ではない、ライフスタイルエッセイですから、いいなと思う部分を実現できるように知識やコツを自分で探すのは当たり前のこと。
日本でもわりとこの手のライフスタイルや秘訣について書かれた本は多いです。正直、被っている部分は多くあると思います。それはそれとして、では日本ではこういったモノに振り回されないシンプルな生活をしている人は多いでしょうか?できていないからこそ、類似本が絶えず出版されるのですよね。整理収納アドバイザーなる職業だって成り立っちゃう。その多くの「類似本」の中でも、まとまって上手く書かれている部類に入るという印象です。まとまっているのは、きっとモデルとなっているマダム・シックというフランス人ならではの一本筋の通った生活を中心に書かれているから。この類の本を探しているなら、一度図書館で借りて読んでみれば?というのが私のこの本のおすすめ度合いです。
日本人は取り入れやすいのでは
著者の住むアメリカの大量消費文化と、留学先のフランスの質を大切にする生活の落差を体験をもとに描いているわけですが、日本を含めたモノの量の立ち位置はどうかというと…
アメリカ > 日本 > フランス
になるのではと思います。
アメリカでは、同じ服を1週間に2回着るのはちょっと恥ずかしいし、ましてや3回なんてとんでもないと思っている。でもフランスでは、そんなのは当たり前のことだった。だって、みんなそうだから!
[本文引用]
日本だったらどうでしょうか?アメリカのように同じ服を週に2回着ても恥ずかしいという感覚はそんなにないでしょう。でも、ユニクロに大量に並ぶわりと安価なTシャツのせいだけではないでしょうけども、モノが溢れる国ゆえに、週に2回着なくてもいいようなモノの量を持っているのが現実ではないでしょうか。もし、この本に出てくるフランス人のような少ないワードローブで着まわしたとしても全く恥ずかしくないような環境であるにもかかわらず。
アメリカ人がこの本の言うようなフランス人の生活を目指してみようとすると浮いちゃうけど、日本じゃ全然そんなことないよね、ということ。
環境は問題なくてハードルが低がっているので、「そうしたいかどうか」強く願う意識改革とその持続だけがポイントなんですよね。
そもそも、戦前の日本人もかなりシンプルに暮らしていたんだと思いますよ。
江戸時代まで遡れば、江戸の庶民は驚くほどモノの持ち方はシンプルで、モノを長持ちさせる工夫やリサイクルの意識も高かったですしね。
私自身には、わりと役に立っていく本だと思う
妊娠してから忙しさにかまけて作っていなかったジャム(登場するフランス人マダムのジャムは全てお手製)をまた作ろうかなと。急場しのぎに既製品のドレッシングは置いているけれど、最近はもっぱら自分で作っているように、なるべく自家製を増やしていきたいなというのが1点。
それから、自宅で仕事をするときにユニクロのリラコ+Tシャツだったのをやめました(笑)
暑いしゆったりできる反面、気持ちの切り替えがすっきりできなかった部分もあるので。
他にもまだまだ生活には取り入れていけるなという点はありましたよ。
今すぐにというわけではないですが、徐々にロングスパンでこうしたいなとか。
なので、この本は本棚のレパートリーに加えます。
そして、本棚からは別の1冊の本が古本屋へお嫁に行くことになります。
定数管理に情は禁物です、ふふふっ。
フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣~
- 作者: ジェニファー・L・スコット,神崎朗子
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2014/10/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (24件) を見る